都市伝説・・・奇憚・・・掲示板 6694386


怖い話投稿掲示板

1:管理人 :

2011/06/07 (Tue) 20:54:32

体験談以外の怖い話専用投稿掲示板です。
313:しろ :

2014/12/20 (Sat) 17:16:52

15: 伝者 2014/12/19(金) 10:59:16.56 ID:Q9WITJsub BE:2530877393-2BP(0)

俺「明日は何して遊ぶ?」

A「私は昼過ぎから浄縁神楽の練習があるから、午前中だけなら遊べるよ!」

B「これからはAも浄縁神楽の練習をする時間が増えるな。
俺にとっておきの楽しみというか、やってみたい事があるんだけど、
聞いて貰えるか?」

俺「いいぜ」

A「いいよ」



16: 伝者 2014/12/19(金) 11:01:05.78 ID:Q9WITJsub BE:562417823-2BP(0)

B「これは誰にも言わないでくれよ、八月十四日の夜にさ、障芽池の森に三人で行ってみないか?」

俺「でも、それは禁を破る事になるぜ。
辿静祭の前日は、Aの一族の人が出入り口を見回っているだろうし」

A「俺君の言う通りだよ、私はやめたほうが良いと思うし、障芽池の森に行くのは無理だと思うな」



17: 伝者 2014/12/19(金) 11:01:53.84 ID:Q9WITJsub BE:2249669838-2BP(0)

B「二人にそう言われると思っていたから、昨日の夜に障芽池の森の有刺鉄線の網を一部開けて置いたんだ。
それに、障芽池の森の中に「祠」がある事を知ってるか?」

B「有刺鉄線を超えて、障芽池に行く獣道から少し外れた所に、ある祠があるそうなんだ。
一昨日、俺の両親が話をしている所を一部聞いただけなんだけどさ、その祠はこの村の歴史が存在する以前からあるらしく、その祠の中にある「石」に触れると、「見える」ようになるそうだよ」



18: 伝者 2014/12/19(金) 11:02:49.86 ID:Q9WITJsub BE:3936920876-2BP(0)

A「そんな話、お父さんからもお母さんからも聞いた事ないけど、本当だったら気になるかも」

俺「俺もAと同じ意見だ。
その話は聞いた事ないけど、何か気になる。
そんで、何が「見える」ようになるんだ」?」

B「それは俺にも分からん、両親が二人で昔話をしている所を少し聞いただけで、その「見える」って言葉の後、父さんが話を変えたからさ」



19: 伝者 2014/12/19(金) 11:03:29.36 ID:Q9WITJsub BE:2812086465-2BP(0)

俺「そっか、色々怖いけど、Bの話を信じてその祠に行ってみるか」

A「私も行く!、次の日は辿静祭だからお父さんから早く寝なさいって言われると思うから、なんとか屋敷を抜け出してみるね」

俺「近くまでBと迎えに行くよ、時間はどうする?」

B「夜の八時ぐらいかな、あまり遅いと何かあった時に困るだろうから、時間に余裕をもって行きたい」



20: 伝者 2014/12/19(金) 11:04:05.74 ID:Q9WITJsub BE:843626333-2BP(0)

俺「了解!」

A「分かった!」

俺「それで、明日はどうするんだ?」

B「Aの都合考えて、お前の家で花札とか?」

A「私は構わないわよ!」

俺「了解!、明日の朝九時頃に来てくれ」
21: 伝者 2014/12/19(金) 11:04:59.19 ID:Q9WITJsub BE:2249668883-2BP(0)

俺達は、禁を守ると言う事の重要性を理解していなかった為、
このような事を行うと決めてしまった。
村の歴史そのものでもある神主一族のA、
そして親友のBを俺は止めず、彼等の意見に賛同してしまった。
これが、俺の生涯の過ちとなる。
314:しろ :

2014/12/20 (Sat) 17:20:55

22: 以下、VIPがお送りします 2014/12/19(金) 11:05:47.19 ID:HTRUwnM8A

見てます
23: 伝者 2014/12/19(金) 11:06:09.47 ID:Q9WITJsub BE:5249227878-2BP(0)

八月十一日
村から離れていた人達が帰ってきた。
大人達、高校生達を合わせても十人程度の人数、この人数と村に留まっている者達を合わせた数が、本当の村人の人口だと言える。
この日から辿静祭の準備が始まった。
神社の参道、社、神楽殿の掃除や、彩の準備。
露店の準備に、村から外界へ通じる道の完全な封鎖網の準備、
障芽池の森の封鎖準備等、村全体が慌ただしくなってきた。
この時に、Bが開けた障芽池の森の入り口が塞がれていないか心配だったが、
Bによればそれは大丈夫との事。
午前中は俺の屋敷でAとBと遊び、午後は一人で釣りをした。



24: 伝者 2014/12/19(金) 11:07:32.26 ID:Q9WITJsub BE:1406043735-2BP(0)

>>22
ありがとう



25: 伝者 2014/12/19(金) 11:08:13.26 ID:Q9WITJsub BE:2249669164-2BP(0)

八月十二日
村の出入り口が完全に封鎖された。
出入り口に通ずる森や林にも封鎖網が施され、
村と外界が隔絶された。
障芽池の森の入り口が完全に封鎖され、
周囲を神主一族の者達が見回っているようだ。
辿静祭に関する場所の掃除や彩は大体終わり、
各露店の場所も分かるほどに準備は進んでいた。
この日は、Aが丸一日、浄縁神楽の練習との事だったので、
午前中は勉強、午後はBと釣りをし、一日を過ごした。



26: 伝者 2014/12/19(金) 11:10:17.11 ID:Q9WITJsub BE:3374503294-2BP(0)

八月十三日
辿静祭への大体の準備は整った。
露店も準備が終わったそうだし、後は辿静祭当日を迎えるだけとなった。
神主一族の神主、つまりAの父親から村人全体に召集があった。
辿静祭についての話だそうだ。
禁の最終的な確認と、鬼無踊りの確認、
浄縁神楽の予定の確認、最後に神主から重要な知らせがあった。
神主「今年の辿静祭でも私の娘が浄縁神楽を舞う、
おそらくは完璧な出来となるだろう。
皆も、心して娘を見てくれ」
村人「wwwwwwwwwwwwww」
神主「wwwwwwwwwwwwww」
A「(*ノωノ)」
俺の傍で話を聞いていたAは照れている様だった。
正直、可愛いと思った。



27: 伝者 2014/12/19(金) 11:11:31.68 ID:Q9WITJsub BE:2812086656-2BP(0)

八月十四日 辿静祭前日 昼
今日は辿静祭の前日だ。
村人の召集が再び神主からあり、
辿静祭の予定やそれに関する多くの事物が書かれた書類が配布された。
今日の夜、俺達は障芽池の森の祠に向かう。
その予定の最終確認を召集後に済ませた俺達は、Aの屋敷に来ていた。
Aが浄縁神楽を見て欲しいと言った為だ。
Aは、代々の巫女が着ける仮面を身に着け、扇や榊を手にし、浄縁神楽を舞ってみせた。
時間は三分程度だろうか、案外速く終わった。
俺は素直に、浄縁神楽に感動した。
Bも笑顔で拍手をしていた。



28: 伝者 2014/12/19(金) 11:11:58.55 ID:Q9WITJsub BE:3936921067-2BP(0)

八月十四日 辿静祭前日 夕方
夜の予定を三人で再度確認し、各々の屋敷へ戻った。
夕飯を取り、俺は懐中電灯や虫払いの粉、何かあった時の自作の笛を用意し、準備を整えた。



29: 伝者 2014/12/19(金) 11:12:48.48 ID:Q9WITJsub BE:2999559348-2BP(0)

八月十四日 辿静祭前日 夜
夜七時半になったので、俺は両親に、
「Bの家に忘れ物を取って来る」
と言い、Bの家に向かった。
Bの姿が屋敷の待ち合わせ場所に無かった事から、
Bは既に家から出ているらしい。
俺はAとの待ち合わせ場所に向かった。



30: 伝者 2014/12/19(金) 11:14:23.63 ID:Q9WITJsub BE:937362252-2BP(0)

A「お待たせー(^^)/」

俺「両親は大丈夫か?」

A「浄縁神楽の練習をしてくるって言って、抜け出してきた」

俺「そっか、Bが待ち合わせ場所にいなかったんだよ」

A「そうなの!?、予定通りにいくのかな」

数十分してBが到着した。

俺「どこいってたんだよ!」

B「ごめん!、開けておいた有刺鉄線の確認に行ってた。
直されていたら元も子もないからな
直されていなかったから、一先ずはいけそうだ」

A「そうなんだ、そろそろいこっか!」

俺「ああ、数分で着くし、準備確認しながら行こう」

B「了解」
315:しろ :

2014/12/20 (Sat) 17:25:48

31: 伝者 2014/12/19(金) 11:16:17.25 ID:Q9WITJsub BE:1124834843-2BP(0)

Bが開けた穴の入り口までは、
なるべく人通りが少ない所を通って向かった。

俺「やっぱり、神主一族の人達が見回っているな」

はっきりとは見えなかったが、多くの人影が巡回しているように見えた。

B「隙を見て行こう」

A「先頭はBが行ってね、私と俺君は場所を知らないんだから」

B「分かった」

人影が穴の傍を離れた隙に、俺達は移動した。
俺は我先にと穴を潜ろうとした。

俺「おいB!、穴通りにくいぞ!」

B「潜れば行けるって」

俺は服の背中を有刺鉄線に引っ掻けながらも、穴を抜けた。

BとAも難無く穴を抜け、森の中に入った。



32: 伝者 2014/12/19(金) 11:17:59.83 ID:Q9WITJsub BE:5999117388-2BP(0)

俺「ここからどうするんだ?」

B「この森を北東に抜ければ、獣道へ出る筈だから、一先ずはそこに向かう」

A「森の中、何か不気味」

俺「ああ」

俺達は懐中電灯を灯し、獣道へ向かって歩き出した。
山の中の村に住んでいるとは言え、多くの獣が徘徊する森、
俺達は獣が動き出す夜の森に入った事が無かった。
山犬の遠吠えが響き渡り、足元には蛇や虫がたくさん。
俺とBは平気だが、Aがずっと俺の袖を掴んでいることから、やっぱり女子なんだなと思う所もあった。
歩き始めてから、軽く三十分は経ったと思う。
獣道にはまだ出ない。
33: 伝者 2014/12/19(金) 11:19:12.20 ID:Q9WITJsub BE:1874724645-2BP(0)

俺「おいB、まだ道に出ないのかよ?方向間違えて無いか?」

B「方位磁針を使っているから、そうはならないと思うが」

俺「少し見せてみ」

B「ほら」

俺「確かに、方向はあっているな」

A「大丈夫なの?」

俺「ここまで入ってきた以上、今から帰るとしても森の中で迷うだけだから、獣道へ出るまで歩くしかない」

A「そっか」

B「行くぞ」

俺達は歩きだした。



34: 伝者 2014/12/19(金) 11:20:49.46 ID:Q9WITJsub BE:5061755669-2BP(0)

と、歩き出して五分程経った時の事だった。
獣道へ出たのだ。

俺「この獣道であってたか?」

B「多分そうだと思う、時間的に」

A「どうする?」

俺「確認する為に、この先にある筈の障芽池まで行くっていうのは?」

B「だな」

A「障芽池にあまり近づかないようにね」

俺とBは、そもそも障芽池を見た事すら無く、A自身も小さい頃に一度両親と行ったきりだそうだ。
なので、障芽池に続く道かも分からなかったから、祠に行く前に確かめる必要があった。



35: 伝者 2014/12/19(金) 11:23:01.88 ID:Q9WITJsub BE:5905380997-2BP(0)

数分程度歩いた時の事

B「獣の声とかしなくなったな」

俺「確かに、山犬の遠吠えとかも聞こえなくなった」

俺「どうしたA?」

Aの元気が無かった。

A「実は、この獣道へ出た時から何か寒気がしてて」

俺「寒気、大丈夫か?」

B「上着とか、貸すぜ」

Aはワンピース姿なので、夜の夏で寒いのも無理はないと思った。

A「何かね、肌に直接くるような寒気じゃなくて、心に直接来るような寒気なのよ」

俺達はAの状態が、良くない事に気が付いていた。

316:しろ :

2014/12/20 (Sat) 17:28:55

36: 伝者 2014/12/19(金) 11:24:29.44 ID:Q9WITJsub BE:1406043353-2BP(0)

Aは精神的に疲れている時とかに、「何かね」と会話を始めるからだ。

俺「引き返すか?」

B「だが、障芽池を確認しない事には道に迷うだけだぜ」

俺「それもそうか、行けそうかA?」

A「少しなら大丈夫、行こ?」

俺「分かった、何かあったら遠慮なく言いなよ」

B「少し歩く速度を速めるか?」

俺「どうするA?」

A「今のままで良いよ」

俺「分かった」

この時、俺は本能的に良くない感覚を捉えて始めていた。
これが第六感というのかどうかは分からないが。



37: 伝者 2014/12/19(金) 11:26:51.45 ID:Q9WITJsub BE:1687252829-2BP(0)

暫く歩いた時、

B「お?」

俺「どうした?」

A「・・・・・・」

Bが何か気付いたようだ。

B「この先に小屋があるぜ、あそこで少し休んでいかないか?」

俺「小屋?」

確かに獣道の先には小屋があった。

A「そこで休も?」

俺「ああ」

Aの身が万全で無い以上、そこで休む事にした。
俺は何故か、そこに小屋がある事に違和感を感じなかった。



38: 伝者 2014/12/19(金) 11:28:52.77 ID:Q9WITJsub BE:2999559348-2BP(0)

俺「随分と古い小屋だな」

小屋は草や木で覆われ、空を見上げても一面を覆われており、月明かりが差し込んでいなかった。

B「中に入ろうぜ、Aも俺達も休憩しよう」

俺「ああ」

Bは一人で小屋の出入り口に向かって行き、扉を開けた。
小屋の扉は鍵がかかっていなかった。

A「・・・・・・・・・・」

Aはずっと黙ってしまっている。

中に入ると、Bはそそくさと椅子を探しだし、そこにAを座らせた。
小屋の中は、椅子や机、包丁のような物等、色々な物が転がっており、何かの異臭も感じられた。



39: 伝者 2014/12/19(金) 11:32:34.98 ID:Q9WITJsub BE:4499338368-2BP(0)

Aは椅子に座り、Bは小屋の周囲を物色している。
俺は小屋の中を調べる事にした。
物が散乱している場所から、角を曲がり奥へ行った所に扉があった。

俺「なんだこの扉」

俺は扉を開けようとした。
その時、中から
「・・・・ポーン・・・・・・・・ポーン」
と言うような物音が聞こえてきた。



40: 伝者 2014/12/19(金) 11:35:09.54 ID:Q9WITJsub BE:1499779182-2BP(0)

俺は一瞬だけ手を止めたが、好奇心が勝り扉を開けてしまった。
扉の中は和式便所で、変な異臭はここから出ている事が分かった。
和式便所の窓は割れており、外の森が見える。
なんだと思い、便所を出ようとした時、



41: 伝者 2014/12/19(金) 11:36:11.00 ID:Q9WITJsub BE:937362825-2BP(0)

「ああ・・・・ああああああ・・・ああああああ」
と言った声が後ろから聞こえた。

俺「!?」

その声は捻り出した様な声で、声だけでこちらを見ている気配がした。

俺「・・・・・・・・」

俺は立ち止まってしまった。
後ろを振り向こうにも、恐怖心が勝り、硬直してしまった。

「あああ・・・・あああああああああ・・・・」

声が聞こえてくる、ゆっくり近づいてくる感じがした。
その時、
317:しろ :

2014/12/20 (Sat) 17:36:06

42: 伝者 2014/12/19(金) 11:37:58.67 ID:Q9WITJsub BE:5905381379-2BP(0)

B「おい!、何やってる!」

と、Bが小屋に戻ってきた。
同時に後ろの声は消えた。
その瞬間に俺はBに引かれ、Bは思いっ切り扉を閉めた。

俺「・・・・・・・・・・・・」

B「おい!、大丈夫か!」

俺「ああ、Bか」

B「ったく、Aもお前も大丈夫かよ!、Aは奥の椅子で寝ちまってるし、お前は扉の前で失禁しながら立ち尽くしちまってるし!」

俺は失禁していた。
恐怖の余り、自分でも気付いていなかったのだ。
俺は今体験したことをBに話した。

B「それが何かは分からないが、とにかくこの小屋から出る方がよさそうだな」

俺「だな」

B「Aも連れて出るか」

俺達は物が散乱している部屋に戻った。
43: 伝者 2014/12/19(金) 11:39:13.52 ID:Q9WITJsub BE:5905380997-2BP(0)

俺「おい、Aは?」

B「あ?、あれ、そこの椅子にいた筈なのに」

いつの間にかAが椅子からいなくなっていた。
と、部屋の角の所から足音がした。

俺「おいA!」

部屋の角の所に行くと、壁と同化した扉があった。

B「なんだその扉」

扉を開けると、階段があった。
二階へと続く階段だ。
俺は正直、この小屋に二階があった事に気付いていなかった。
外から見ても二階と思われる所は全て、木や草で覆われていたからだ。



44: 伝者 2014/12/19(金) 11:40:13.36 ID:Q9WITJsub BE:2999558584-2BP(0)

俺「二階にAは行ったのか?」

B「そうだろ、小屋の入り口の扉も閉まってるし」

俺とBは二階の階段をゆっくりと歩いた。
速く歩けば抜け落ちそうな程、階段の木は腐っており、朽ちている。
そして二階の部屋の扉を開けようとした時、

B「おい俺!、待て」

俺「何だ?」

B「扉を良く見ろ」



45: 伝者 2014/12/19(金) 11:41:07.89 ID:Q9WITJsub BE:4499337986-2BP(0)

扉は数百枚と言える数のお札で閉じられており、
扉の両端には盛り塩があった。
だが、その盛り塩は黒く、変色していた。

B「扉の雰囲気からして、ここはやばいと思う。
だが、その扉と壁の所のお札が破られているから、Aはこの中にいる」

俺「行くしかないだろ」

B「俺が開ける」

Bはそう言うと、思いっ切り扉を蹴飛ばした。
その瞬間、Bは何かの強い力で吹き飛ばされ、階段の一番下へ落ちた。



46: 伝者 2014/12/19(金) 11:42:18.56 ID:Q9WITJsub BE:2999558584-2BP(0)

俺「おいB!」

B「俺!!!、部屋の中を見ろ!!!!」

俺は部屋の中を見た。
中にはAが立っていたが、様子がおかしい。
こちらの方を見て、Aは両手を真横に上げている。

俺「A!!!!」

と言い、駆け寄ろうとした瞬間、

人の形をした黒い影の様な「何か」がAの後ろから現れ、赤く濁った眼で俺を睨み、追いかけてきたのだ。



47: 伝者 2014/12/19(金) 11:43:37.92 ID:Q9WITJsub BE:1687252436-2BP(0)

俺「!?」

俺は咄嗟に扉を閉め、黒く濁った塩を掴み、
階段を駆け下りた。
下に落ちたBは、落ちていた包丁を手にし、身構えていた。

俺「B!!逃げろ」

B「Aがいるんだぞ!!」

俺「!!」

その時、和式便所のある方向からも黒い何かが近づいてきた。

B「クソッ!!!」

Bは包丁を持ったまま、俺と小屋を出た。
318:しろ :

2014/12/20 (Sat) 17:39:40

48: 伝者 2014/12/19(金) 11:45:30.67 ID:Q9WITJsub BE:2999558584-2BP(0)

Bは包丁を持ったまま、俺と小屋を出た。
小屋を出た瞬間、

A「きゃあああああああああああああああああああああああああああ」

Aの悲鳴が小屋から響いた。

俺「A!?」

B「クソオオオオオオオオオオ」

Bが小屋に戻ろうとするが、黒い何かが追ってくる。

「あああああ・・・・あああああああああああああ」

呻き声を上げながら迫ってくる黒い何かに、
Bは持っていた包丁を投げ、俺は掴んでいた塩の塊を投げた。

「あああああああああああああああああああ」

黒い何かの動きが止まった隙に、俺とBは逃げた。
獣道を無我夢中で走って、途中で何度も転んだ。
正直、この辺りの記憶は曖昧で、良く覚えていない。



49: 伝者 2014/12/19(金) 11:47:13.59 ID:Q9WITJsub BE:2999558584-2BP(0)

数分程全力で走り続け、俺が転んだ時、

「ああああああああああ」

耳元で声がした。
それから俺達は無我夢中で走り続け、障芽池の森の周囲に張られた有刺鉄線の前に出た。
俺とBは無我夢中で外の大人達に助けを求め、自作の笛を吹いた。
それに気づいた神主一族の大人達に助けられた。



51: 伝者 2014/12/19(金) 11:49:32.45 ID:Q9WITJsub BE:3280767757-2BP(0)

俺とBが障芽池の森から出てきた事を知り、
それは直ぐに村中に知れ渡り、俺とBの両親に家族、
神主一族の他にも多くの村人が障芽池の森の入り口付近に集まった。
何も言わずとも、
俺とBの服がボロボロである事から大体の検討が付いたらしく、
直ぐに神社の本殿へ連れてかれた。
既に本殿には村人全員が召集されており、異様な雰囲気だったのを覚えている。



52: 伝者 2014/12/19(金) 11:50:35.12 ID:Q9WITJsub BE:1499779182-2BP(0)

神主「最初にお前達に憑いた存在を払う、辛いのを覚悟しておけ」

と言い、俺とBに無理矢理に酒や酢といった物を飲ませ、
身体中に塩を掛けた。
思いっ切り背中を叩かれたと同時に、俺とBは何かを吐いた。
蝋燭の火に照らされた嘔吐物を見ると、俺は無数の髪の毛を、Bは何枚かのお札のような紙を吐いていた。



53: 伝者 2014/12/19(金) 11:51:30.78 ID:Q9WITJsub BE:2249668883-2BP(0)

背中に文字を書かれたと同時に、神主一族による祝詞が始まると、
俺とBはそれから何度も何度も嘔吐し、嘔吐物の中には虫のような生き物がいた。
数時間に渡るお祓いの後、俺達は風呂に入らされ、本殿に戻った。

神主「お前達が何をしてきたのか、それから聞こう」

神主と神主一族、そして村人の睨み付ける様な視線の中、俺とBは何をしてきたのかを話した。
319:しろ :

2014/12/20 (Sat) 17:42:31

59: 伝者 2014/12/19(金) 18:40:47.00 ID:Q9WITJsub

続き

俺とBが事の話をしている途中に、神主は俺とBを思いっ切り殴った。
神主の妻、つまりAの母も話を最後まで聞いた瞬間に気絶してしまったり、
俺やBの両親もずっと俯いたままだった。
両親、親族に迷惑をかけた俺は、村から迫害されると思っていた。
神主「話を聞けば聞くほど、俄かに信じられんような内容だが、
今から私や一族が話す事は、もっと信じられんような内容だ。
心して聞け」



61: 伝者 2014/12/19(金) 18:47:13.56 ID:Q9WITJsub

話を聞いた神主や神主一族が語った内容、教えてくれた内容を纏めると、
俺達が行った小屋というのは、
村の伝承に語られる「鬼小屋伝説」と呼ばれる伝説上の小屋だそうだ。
村人の殆どはこの伝説を知っており、
俺とBの話を聞いていた村人の中には、

村人「本当に小屋があるとはね~」

村人「昔は捜した捜したwwww」

と言う者が多くいた。
神主によれば、この小屋は伝説では無く実在するが、
小屋の存在自体から招かれなければ行く事は出来ないらしく、
神主自身も過去にこの小屋を見つけようと捜した事があるそうだ。
小屋に招かれれば、招かれた者は無意識に小屋へ向かうようになると言う。
その場合、小屋以外の目的で障芽池の森へ入ると、その目的の先には小屋が現れる。
要約すると、俺達はこの小屋に招かれてしまった為、目的であった障芽池や森の祠に辿り着く事が出来なかった。



62: 伝者 2014/12/19(金) 18:49:56.08 ID:Q9WITJsub

神主一族の長老によれば、この小屋の名前は鬼小屋だが、中に住んでいるのは鬼でも幽霊でも無いそうだ。
この小屋の中で見た黒い何かと言うのは、この小屋に住む「障者」と呼ばれる存在との事で、この小屋には二体の障者が住んでおり、男性と女性の障者が住んでいる。
そして、男性と女性の障者は元は男性と女性の人間であったそうだ。



63: 伝者 2014/12/19(金) 18:58:12.32 ID:Q9WITJsub

説明が長くなると思います。
申し訳ない。

村の伝承によれば、
数百年前に村と町の道が土石流によって数kmに渡り寸断され、
村の農作物が豪雨による小川の増水、水系の崩壊等の自然災害によって駄目になり、村が飢饉に陥った時がある。
飢餓状態となった村人が作物を探す中、
ある日、一人の村の男性が、村の女性を村奥の森の中の小屋に監禁した。
男性は飢餓の極限状態により、監禁している女性を強姦し、
奴隷のような状態にした。
簡単に言えば、女を使って遊んだとの事。
女性は飢餓による栄養失調や体力の減少で餓死してしまった。
肉に飢えていた男性は、その女性を解体し、食べた。
男性はその時に得た食人の快楽を求め、次々と村の女性を殺し、食べだしたと言う。
中には、生きたまま解体され、食人された女性もいた。
女性ばかりを狙うのは、彼が根本的に男性であるからだそうだ。



64: 伝者 2014/12/19(金) 19:03:56.03 ID:Q9WITJsub

この男性の情報は村に広がったが、
村人の男達はこの男性を捕える所か、同じように村人の女性を殺し、共食いしだしたのだ。
殺し合い、食べていく内に人は狂って行き、
最初は殺される側だった村人の女性が村人の男性を殺した。
そして、それを見た他の女性も人を殺し、食べだすようになった。
数百人いた村人は数十人から数人へと減り、最後の村人の女性を食べた男は、森の中の小屋で自殺したと言う。
320:しろ :

2014/12/20 (Sat) 17:47:11


65: 伝者 2014/12/19(金) 19:06:01.39 ID:Q9WITJsub

この自殺した男こそが鬼小屋の男性障者であり、
最初に強姦され、殺され、食べられた女性が女性障者である、
と伝承の伝説には存在する。
俺とBに憑いていたのは、この障者の両方の力であるそうで、
Bには男性障者の力が、俺には女性障者の力が憑いていたそうだ。



66: 伝者 2014/12/19(金) 19:10:11.16 ID:Q9WITJsub

村人が消滅したこの村には、後に現在の神主一族の先祖「初代神主」の一家が引っ越し、村復興の始めに村の守り神となる神社を立てた。
家や道に残された村人の骨を村奥の池に水葬した後、
村奥の池に集まった、村人の怨念を封印し、名前を障芽池と名付け、
池自体を名前で縛った。
後世にも自分の力が村を守るようにと、自分の力を封印した石と、
その石を祭る祠を村奥の森の中に立てた。
強い怨念が留まり続ける、村奥の森の小屋の二階の扉を封印し、
小屋自体を人の認識外へと封印した。
初代神主の力では認識外への封印が限界で、
それが招かれれば行けると言う隙を作る結果となってしまった。
初代神主は子孫達に、この小屋を鬼小屋と語り、中に住む者を障者と呼んでいたそうだ。



67: 伝者 2014/12/19(金) 19:11:44.93 ID:Q9WITJsub

初代神主は、この村で死んだ村人を弔う為、
この村に生きる村人を村の鬼から守る為、
この村で生まれた鬼を外界に出さない為、八月十五日に神社で行う村全体での祭り、即ち辿静祭、鬼無し踊り、浄縁神楽を残した。
村の伝承を残す用意をした過程で生まれた、幾つかの綻びを繕う為に、初代神主は最低限の三つの禁を残した。
初代神主は村に引っ越してきた者達、即ち今の村人の先祖達に、永久に村を守れるようにと、この村の伝承を受け継がせた。



68: 伝者 2014/12/19(金) 19:17:30.59 ID:Q9WITJsub

長きに渡り、村の伝承は受け継がれてきたが、ある年、村の伝承を知ったある一族が
321:しろ :

2014/12/20 (Sat) 17:51:40

森の祠へ行き、初代神主の力を得ようとする事態が起きた。
何故か森の祠にある石を壊せば、自分達にも力が宿ると思っていたらしい。
一族の企みを知った村人が神主一族に報告した事により、一族の行いは未然に防がれることとなった。
力を得ようとした一族は、村八分の後に村を追放された後、
人間関係で失敗し多額の借金を背負い、遂には一族で投身自殺した。



69: 伝者 2014/12/19(金) 19:21:04.33 ID:Q9WITJsub

この事から、森の祠や、村の伝承の大半を村人に残さない方針に変わり、
この世代から神主一族にのみ管理が任せられ、森の祠の周囲にも封印がなされる事となった。
この当時のB一族は、この方針を無視し、一族内で森の祠の存在を伝えていたらしく、Bは両親の会話からその存在を知る事となった。
森の祠になされた封印は、八月十四日に弱まる為、その封印の組み直しを当代神主は、毎年一人で行う。
神主によれば、組み直された封印は、
来年の八月十四日まで弱まる事はないが、強い悪意の絡んだ何らかの手段で、この封印を破壊し、初代神主の力を得る事が可能だそうだ。
322:しろ :

2014/12/20 (Sat) 17:54:53

70: 伝者 2014/12/19(金) 19:22:55.88 ID:Q9WITJsub

神主「この事態を機に、我々一族が隠していた秘密は村人に知られてしまった事になる」

神主「B一族は本来ならば村を追放されるべきだが、今は構ってられん」

神主一族「Aの囚われた小屋へ行く用意が出来たぞ」

神主「分かった。
俺君、B君、私は一族全員でAを救いに行く。
我々にも、初代神主が小屋に施した認識外の封印の解き方は知らされていない。
小屋から呼ばれている君達しか、もう一度小屋に行く事は出来ないのだよ。
正直、娘が今も生きているという保証はどこにもない。
既に遅いかもしれないが、協力してくれ」



71: 伝者 2014/12/19(金) 19:24:44.47 ID:Q9WITJsub

俺「Aは必ず、この場所に連れ戻して来ます、任せて下さい」

B「禁を犯した自分が言うのもなんですが、これは自分に下された天命だと思っています」

神主一族「我々は途中まで君達に付いて行く。
Aを見つけたら直ぐにこの清めの水を飲ませ、背中にこのお札を張りなさい。
そして、清めの塩をAの身体全体に掛け、障者が現れたら○○○~と真言を唱えなさい」

神主「真言で障者を数秒止める事が出来ると思うが、止められなかった場合はひたすら走り、我々の下へ来るのだよ。
立ち止まって行けない事を忘れずに」

俺とB「はい」

俺とBは覚悟を決めた。



73: 伝者 2014/12/19(金) 19:28:37.24 ID:Q9WITJsub

八月十五日 辿静祭当日 午前一時
俺とB、そして神主と神主一族は、障芽池へと続く獣道の途中にいる。
神主一族の人数は数十人で、頼もしいと思った。

俺「この辺りから、二人で行きます」

B「必ず、Aを助けて来ます」

神主一族「頼んだぞ」

神主「教えた事を忘れずにな」

俺とB「はい」



74: 伝者 2014/12/19(金) 19:29:27.83 ID:Q9WITJsub

俺とBは一本の獣道を進む。
途中から、山の獣の声が聞こえなくなってきた。

俺「そろそろか」

B「だな」

暗がりを抜けた先には、小屋があった。
俺とBは、無言で道具の最終確認を行った。

俺「あれ」

B「どうした?」

俺「いや、鋏なんて入れたっけなって思ってさ」

B「裁断鋏か、何かの役に立つんじゃないか?」

俺「そっか」

俺とBは作戦の最終確認をした。



75: 伝者 2014/12/19(金) 19:32:11.66 ID:Q9WITJsub

作戦はこうだ、
俺とBで小屋に一気に入る。
下の部屋に障者がいた場合、Bが相手する。
その隙に俺が二階へ行き、Aを助ける。
二階に障者がいた場合、障者を足止めし、Aを連れて一階へ降り、BとAを守りながら、神主一族の下へと走り抜ける。
作戦と言うような作戦ではないが、この方法で行くしかないと思った。

俺「行くぞ」

B「ああ」

俺とB「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

二人で突進するように、さながらアニメの様に小屋に入った。
下の部屋に障者はいなかったので、下はBに任せ、俺は階段を駆け上がった。
二階の扉を思いっ切り蹴破った。

「ドン!!!!」

俺「A!!」

俺はAの名前を叫び、中に居るであろう障者を威嚇した。
部屋の中には・・・・・・・
323:ドラスタ娘 :

2015/02/16 (Mon) 12:54:45

204 :おーやん ◆wCXLl0A2Lo :2005/04/20(水) 16:46:45 ID:cdhis2wy0
 最近このスレの話を知って(怖がりだから普段は昼にしかオカルト板来ないんで
知らなかった)、最初から読んでたんですけど、これかなり昔の話が元に
なってるんじゃないかなぁ。
 「泉の広場の赤ワンピース」
とかって言われてたけど、元々は「アキちゃんの話」ってヤツだと思うんだけど。
 オイラは母方の婆ちゃんに昔(25年くらい前か)聞いたことあるけど。


214 :本当にあった怖い名無し:2005/04/20(水) 17:05:58 ID:iq8F3flW0
>>204
アキタンの詳細キボン!
赤福本名判明か!?


217 :本当にあった怖い名無し:2005/04/20(水) 17:11:34 ID:nGNjGgnQO
本名
・赤福アキ

とりあえずこれでいいのか?


218 :本当にあった怖い名無し:2005/04/20(水) 17:13:02 ID:b79t+ofO0
>>204 じらすのズルイ!早く教えて~

222 :おーやん ◆wCXLl0A2Lo :2005/04/20(水) 17:31:39 ID:cdhis2wy0
>>217
 最初に言っとくけど、もともとの話は幽霊とか関係無い話。
 フルネームは判らないけど「アキちゃん」と呼ばれてた、赤いワンピースの
街娼婦がいて、その人にまつわる話。
 怖いとか言うより哀しい部類の話ですけど、それでも構わない?
 その話自体は幽霊とか全然関係無いですよ?

224 :本当にあった怖い名無し:2005/04/20(水) 17:37:28 ID:QrK6SfO0O
かまわない。話してくれ!全裸で。

228 :おーやん ◆wCXLl0A2Lo :2005/04/20(水) 17:44:39 ID:cdhis2wy0
>>224
 じゃあ服を着て話すけど。
 昔、関西では『映画ダイジェスト』っていう、最新の映画の上映期間やら
上映館を紹介する番組があって、その番組では梅田松竹会館(中に梅田
ピカデリーという映画館がある)への行き方を、
「泉の広場を上がったところ」
という紹介の仕方をしていて、小学生当時、何かアニメ映画を見に行きたかった
オイラは松竹会館近辺の食堂で働いていた祖母に泉の広場への行き方を
尋ねたわけです(そこに行って上がればいいんだ、と考えたので)。
 けど祖母は子供の行くところじゃない、ヤーサンがうろうろしていて危ない、と
教えてくれないので泣きながら映画の事は諦めました。
 続く。

230 :おーやん ◆wCXLl0A2Lo :2005/04/20(水) 17:49:39 ID:cdhis2wy0
>>228
 時は流れて中学生。
 一人で映画館にも行ける年齢になったオイラはまた見に行きたい映画が
上映される事になったので今度こそ、という勢いで祖母に泉の広場の場所を
尋ねました(この時にはもう食堂は辞めていて叔母の家に同居していた)。
 すると昔とは違ってあっさり場所を教えてくれたので、気になって何で昔は
場所を教えてくれなかたったのだと問い詰めたわけです。
 で、まあ中学生になったなら(正確には「もう大人料金でどこでも行けるん
やしなぁ」と言っていた)良かろうということで「アキちゃんの話」を聞かせて貰いました。
続く。

233 :おーやん ◆wCXLl0A2Lo :2005/04/20(水) 17:58:09 ID:cdhis2wy0
>>230
 当時(今から30年位前)、泉の広場は今ほど明るい、垢抜けた場所では無く、
ちょっと怪しげな人達がたむろしていたのは他の方の書いている通りですが、
その中に「アキちゃん」と呼ばれる、赤いワンピースも華やかな、身を売っている
女性がいたそうです。
 かなり売れっ子で、気の強い彼女はそんな仕事は辞めたらどうだという店の
オバちゃんやうちの祖母の話にも耳を貸さず、自分の稼ぎで内縁の夫(やくざ
だったらしいですが)を組内で出世させる、などと言ってたそうなんですが、その
相手のやくざはどう見ても粗暴なだけで頭の回らない、ゆくゆくは落ちぶれる
だろうなぁ、というような男で、オバちゃん連中の見立てでは「くだらない男に
引っ掛かっている自分を認めたくなくて強気な事を言ってるんだろう」と、
プライドの高さが哀しいタイプの女性だったそうです。
続く。

235 :おーやん ◆wCXLl0A2Lo :2005/04/20(水) 18:10:09 ID:cdhis2wy0
>>233
 まあ、そんな女王様みたいな感じのアキちゃんでしたが、とにかく綺麗な人
だったので常に客がいるような状態だったんですが、そういう人はまあ周囲の
女性とはどうしてもぶつかるようで、他の街娼の人とは何度か諍いがあった
そうです。
 そんなある時期、とんがっていた彼女の性格がえらく丸く、優しくなったので
不思議に思った近くの店のオバちゃんが訪ねてみると、
「自分にベタ惚れした若い客が、自分と一緒になって田舎に行こうと言ってくれた」
と言ったそうで、もちろんオバちゃんはそんな出来すぎた話があるかいな、アホと
言ったそうなんですが、その若い兄ちゃんは大阪で一儲けして田舎で商売でも
始める、金はあるからヒモのやくざにバシッと金を払って、一緒についてこいと
かなりの金額をアキちゃんに見せたそうで、オバちゃん曰く、こんなに気の強い
女が何でこんなあっさりと騙されるのかと呆れたそうで。
 で、そのオバちゃんもその若い客を見たそうですが、確かに金のかかった
身なりでさわやかそうな好青年だったそうですが、大阪のオバちゃんらしく、
「一儲けして女の身請けして故郷に錦を飾るようなヤツが、さわやかなままで
おるわけが無い」
という身も蓋も無い、しかしなるほどなぁという理屈で兄ちゃんが胡散臭い、と
見てとったそうです。
続く。

236 :おーやん ◆wCXLl0A2Lo :2005/04/20(水) 18:16:27 ID:cdhis2wy0
>>235
 結局オバちゃんの見立ては正しく、この「好青年」はなんとアキちゃんのヒモ
のやくざと同じ組の、こっちは女で商売する専門の組員だったそうです。
 何でこんな話になったかというと、元々「好青年」はミナミ界隈で何人もの
女性で稼いでいたらしいのが、兄貴分の引退で兄弟関係の梅田の組に
世話になる事になり、先に送っていた稼ぎ扶持の街娼がアキちゃんと揉め、
何とかしてくれと女に泣きつかれてアキちゃんをだまくらかす事にした、という
顛末だったそうで(この件でヒモだったやくざと「好青年」が後々喧嘩沙汰になったのが
祖母が働いていた食堂だったので、大まかな理由が判明した)。
続く。


237 :おーやん ◆wCXLl0A2Lo :2005/04/20(水) 18:26:44 ID:cdhis2wy0
>>236
 で、ある日。
 いつものように泉の広場に向かったアキちゃん。
 噴水のところに腰掛けている「好青年」を見かけて駆け寄ろうとしたら、隣に
以前喧嘩した女が嬉しそうな顔をして座っている。
「人の男に手を出すな」
と言わんばかりに近づいたアキちゃんの目の前でディープキスの2人。
 カッとなって詰め寄り、
「どういうこと!? 私を捨てる気!?」
と涙を浮かべながら言うアキちゃんに「好青年」が言ったのが、
「捨てるも何も、ハナから拾ってもおらんがな」
 同時に完全に勝者の笑顔を浮かべる隣の女。
 騙された事を完全に理解したアキちゃん…、のはずが、セリフは変わらず
「私を捨てる気!?」
ばっかりだったそうで、祖母曰く、「プライドが高すぎて騙された事にしたくない」
んだろう、と。
 その時の顔ときたら、涙はすぐに枯れてもう「これが般若というものか」と
言うくらい凄い形相だったそうで。
 その後、この話がヒモにバレ、捨てられてしまったアキちゃんが取りだした
行動が、今のお話の元になっているんでしょう。
続く。

238 :おーやん ◆wCXLl0A2Lo :2005/04/20(水) 18:41:25 ID:cdhis2wy0
>>237
 「好青年」に騙され、ヒモには捨てられ、まさしく一人になったアキちゃん。
 広場のいい場所で客を取る事も出来なくなり、階段を上り下りしたり、広場の奥を
うろうろしたりで、客もつきにくくなりました。
 それでも以前から彼女を知っている客の中には彼女を探して相手をして
貰おうとするのですが、そういった「常連」の数がどんどん減っていく。
 不思議に思ったオバちゃんが客だった男にこっそり訳を聞くと、これまでの
彼女が嘘のように、ベッドで「連れて行って、連れて行って!」と物凄い力で
しがみついてくるので怖くてしょうがない、と。
 常連も寄り付かなくなり、孤独な時間が多くなるアキちゃん。そんなある日、
噴水に座ってた若い兄ちゃんが待ち合わせか、彼女と落ち合った時に事件は
起こりました。
「また私の事騙したんか!? 殺してやるっ!?」
 アキちゃんが階段を一気に駆け下りてきてそのカップルに襲い掛かろうとしたんです。
 気づいた回りの店の人達が取り押さえたんですが、そのカップルは「好青年」
とは年恰好が似てるだけで本人とは全然違う人でした。
 曽根崎警察の方から厳重に注意を受け、以後襲い掛かるような事は無くなった
そうですが、似たような年代の男女を見かけると、刺す様な眼差しで見るように
なったそうです。
 それでもいつしか彼女はいなくなり、泉の広場も綺麗に改装されましたけど、
それでもアキちゃんの名残やないか、と言われてる部分は残ってるんです。
 噴水に今、座れないでしょ? 小さい水が出て。
 カップルがそこに座って長いこと楽しげに話が出来ないようにしてるんじゃないかと。
 アキちゃんがまたやってこないように。

 とまあ、こういう話です。長くて申し訳ない。

239 :本当にあった怖い名無し:2005/04/20(水) 18:46:16 ID:tFFQw4C+0
哀しすぎる。
アキちゃん、綺麗なら少々変でも俺が貰ったのに・・・。

240 :本当にあった怖い名無し:2005/04/20(水) 18:48:06 ID:jUSvUI550
悲しい話やね

241 :本当にあった怖い名無し:2005/04/20(水) 18:48:20 ID:29GrNpEf0
>>233-238
ぐっじょぶ^^

242 :本当にあった怖い名無し:2005/04/20(水) 18:52:10 ID:nGNjGgnQO
アキちゃんを成仏させてあげられる人は居ないのか?
悲なし過ぎるよ


243 :本当にあった怖い名無し:2005/04/20(水) 18:52:36 ID:HNozox8G0
バーちゃん随分詳しいね。仲良かったの?
特に>237の部分は、近くで見てないとわからない描写だと思うんだが

244 :本当にあった怖い名無し:2005/04/20(水) 18:54:07 ID:1N8g71Dh0
うん、この情報は興味深いですね

245 :本当にあった怖い名無し:2005/04/20(水) 18:54:38 ID:OOBEAa770
>>おーやん


三十年以上前なら、今50歳くらいかな?
目撃情報とちょっとズレるから、やっぱり赤福は霊なんかな?

その後のアキちゃんはどうなったかわかんないの?

246 :本当にあった怖い名無し:2005/04/20(水) 18:54:51 ID:nGNjGgnQO
しかしまあ、良くない考えだがあれだな!
出没する条件が分かったな
そんで出没させて抱きしめてやりたいな

249 :本当にあった怖い名無し:2005/04/20(水) 19:00:50 ID:nGNjGgnQO
>>245
まだ生きてる可能性もあるが、相当に強烈な出来事だから生き霊なって出てきてることも考えられる
どちらにしても人間ではないみたいだな
>>245
悲なしくも良い話をありがとう


250 :おーやん ◆wCXLl0A2Lo :2005/04/20(水) 19:01:23 ID:cdhis2wy0
>>243
 >>237 の描写を見ていたのは泉の広場周辺の店のオバちゃんです。
 それをもう臨場感たっぷりにうちの祖母に聞かせてくれたんだそうで。
 うちの祖母は代わりに、「好青年」の騙しの真相云々をオバちゃんにこれまた
臨場感たっぷりに語ったんだそうで。
 どうも「好青年」と女が祖母の働いていた食堂で飯食いながらだまくらかした
話をしてたんだそうです、「あの女の顔見たぁ?」とか何とか、そんな感じで。
 で、それを最初自分の女の事だと思ってなかったヒモが、話の流れから
自分の女のアキちゃんの事だと気づいて店の奥の席から「好青年」のところに
怒鳴り込んだと。
 気づいてなかった「好青年」も、完全にばれてしまったので売り言葉に買い言葉で
喧嘩沙汰になった、と。
 うちの祖母がこの話を良く覚えていたのは、このときにこのやくざもん連中を
店からたたき出したのが祖母だったからです。
 一種の自慢話みたいなもんですね。

251 :本当にあった怖い名無し:2005/04/20(水) 19:02:42 ID:B6QxRKAlO
この話が例の件と一致するなら、前に言ったみたいに共通点があったんだ。
しかし第2の問題は見える奴と見えない奴がいる。
見えない奴の場合、気付かずに、横から黒目で張り付かれてたら…

253 :本当にあった怖い名無し:2005/04/20(水) 19:04:39 ID:XQ1yg7wl0
>>243
同意・・・・。う~ん。好青年やくざとヒモやくざは同じ組なのに
同じ組の彼女をなわばり争いから外そうとするかな。

254 :本当にあった怖い名無し:2005/04/20(水) 19:05:21 ID:1N8g71Dh0
都市伝説じゃねぇのかよ・・・

269 :本当にあった怖い名無し:2005/04/20(水) 19:46:49 ID:iufuMC6t0
おーやんありがとう。なんか、すっきりした。
赤福の写真もういいや。
そっとしときたい

281 :前スレの466:2005/04/20(水) 20:33:21 ID:U6eEslcAO
やっと仕事おわったYO
262 アリガ㌧ スッキリしました。
赤福って悲しい話なんだね.゚.(ノД`).゚.

283 :本当にあった怖い名無し:2005/04/20(水) 20:42:05 ID:eZXIqM1+0
「赤い服のアキちゃん」の話、古い飲み屋の親父さんとか
知ってないかな?

285 :前スレ65 ◆xYjXR8MlnQ :2005/04/20(水) 20:46:07 ID:65+5+EKU0
>>233-238 乙。

この話が本当ならもうそっとしておいてあげたいな。

話しは変わるがせめて豚ドンに豚丼を食わせてやりたい。
324:ドラスタ娘 :

2015/02/21 (Sat) 20:44:49

先の投稿は、大阪・泉の広場に出没する赤い服の女の話です。
325:しろ :

2015/06/02 (Tue) 18:03:06

698: 名無しさん@おーぷん 2015/06/01(月)15:36:34 ID:Jan
もう20年くらい前になりますが、突然人が狂うのを見たのが衝撃でした。

私の家はまあベッドタウンというか新興住宅地にありまして、隣近所とは
ちょうど同世代の子供がいることもあり(この子供が私たち世代なんですが)
結構仲が良かったんですね。
ちょうど私が大学生になったころだったので、近所には私と同世代の人は、
3分の1は就職や結婚で家を出て独立、その3分の1は進学先で下宿といった感じで、
3分の1より若干多めの人が地元に残っていたと思います。

そのうちの一人(Aとします)がある日突然私のうちに来てちょっと一緒に家に来てくれと言われまして、
何かあったのかと思い、母親と一緒に行くとAの父親が白いブリーフだけで、髪をモヒカンににして仁王立ちしてました。
玄関の上り框の所で。

私と母は思わず「ひっ」と声が出てしまったのですが、A父に
「ここにいる神様と天理教の神様はどちらの方が偉いのですか?」と聞かれました。
ちなみにAの家は真言宗で、天理教ではありません。

私は何を言っていいのかわからず黙っていると母親が「どの神様がここにいるのですか?
神社にいかんと神様はいてないと思うけど」と答えると、「そうやったんか」とA父はつぶやくと
その恰好のまま革靴を履き、神社のほうに去っていきました。
その隙に母がAに「早く119に電話して病院に連れて行ってもらいなさい」と言って
そのまま119に来てもらい病院に連れていかれました。

その後A父は退院することなく今に至ります。
昨日たまたま子供を連れて実家に帰ったらAに遭ったので思い出しました。
いまだにあの時ほどの強烈な体験はしていません。
なんかよくわからないですね。私にもよくわかりません。すいません。

701: 名無しさん@おーぷん 2015/06/01(月)18:20:06 ID:KUu
>>698
セリフとか、暴れたわけでないところとか、すごく怖い
憑かれたとか、もっていかれたとか、障りがあったとか、そんな感じだ


703: 名無しさん@おーぷん 2015/06/01(月)18:57:19 ID:hQ4
>>698
いかれてらっしゃったんですね

704: 名無しさん@おーぷん 2015/06/01(月)21:14:03 ID:Jan
>>703
まあそうですね。
気になったので母に聞いてみました。

おかしくなる1か月ほど前にA母が預貯金をすべて持って
浮気相手と逃げたそうです。
その後、精神病院に入院をしたそうですが、何度か入退院を繰り返したのち
肝硬変で死んだそうです。
私の記憶違いでした。すいません。

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