都市伝説・・・奇憚・・・掲示板 6698333


コピペ千本勝負恐怖版

1:777 :

2016/10/02 (Sun) 09:44:40

管理人様いつも楽しみに拝見させていただいてます。
スレお借りて昔集めた話を掲載していきます。
宜しくお願いします♪
946:777 :

2018/04/06 (Fri) 09:33:22

春というのは若い人達にとっては希望に満ちた、新しい生命の息吹を感じる季節だろうが、私くらいの年になると、何かざわざわと落ち着かない。
それでいて妙に静かな眠りを誘う季節である。
夜中、猫の鳴くのを聞きながら天井を見つめてる時、あるいは、こうして縁側に座って桜の散るのを見ている時、やたら昔の事が思い出される。
知らずに向こうの空気に合わせて息をしている。
危ないぞ、と気づいて我に返ると、ひどく消耗している自分がいる。
確か、トシ子ちゃん、といったと思う。

私の母方の本家は東京の下町で魚屋を営んでいて、大正の頃は皇居にも魚を卸していたそうである。
とは言っても店の造りはそれほど大きくなく、1階が店舗、2階が住居になっており、その上にさらに3階があった。
3階と言っても布団を入れる納戸と、4畳半程の小さな部屋が1つあるだけだ。
トシ子ちゃんとは、戦前からその部屋に寝起きし、住み込みで働いていた本家には家族も多くいたし、別に手伝いを雇う程のこともなかったのだが、知人からどうしてもと言われ預かっているのだと聞いていた。
生国はどこだか知らないが、いずれにしても東京から随分と離れていたのではあるまいか。
みんなトシ子ちゃん、とかトシちゃんなどと呼んではいたが、歳はもう当時で40を超えているらしかった。
障害というほどではないだろうが、少し知恵が遅れていて、また口も不自由だった。
毎年、正月に親戚が集まるが、何が嬉しいのかいつもニコニコと笑いながら人の間を料理や徳利を運んで忙しく働いていた。
ただ、人と話したり、大人の話に飽いた私達と遊んだという記憶はない。



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